機能性表示食品は、血糖値上昇を抑える、目のピント調節をする、ストレスを抑える働きをする、お通じを良くするなどの身体に優しい効果がある食品のことです。機能性表示食品を販売するにあたり、消費者庁に対して届出を行うことが義務付けられています。
今回は、機能性表示食品の販売資格を得るためのプロセスにについて紹介します。
『機能性表示食品とサプリメントにはどのような違いがあるのか』
機能性表示食品とは何か
スーパーやドラッグストアなどで目にする機会の多い機能性表示食品ですが、実際他の健康食品とどう違うのかわからないという人もいるかもしれません。機能性表示食品とは、ストレスを抑える働きをする、食後の血糖値の上昇を抑えるなど身体に嬉しい効能が企業によって確認され、国に販売許可をとって販売されている食品のことです。
人が伸びをしているロゴマークでおなじみのトクホも健康に良いといわれている食品ですが、国に申請や審査が必要なトクホに対して、機能性表示食品は国の審査は必要ありません。届出は行いますが、国による審査がないのでトクホよりも早く発売することが可能です。
機能性表示食品は、食品全般を対象としているため、食品関連事業者であれば大小関わらずに届出をすることができるのも大きなメリットです。製造業者や加工業者、販売者や輸入者まで、食品関連業者であればすべて該当するので、届け出を出すことが可能です。
食品関連業者による届出により、消費者庁から許可がおりれば食品に配合した成分に基づいた効能を謳って販売することができます。
機能性表示食品の評価方法
機能性表示食品に配合される成分には、ストレスの抑制や血圧上昇を抑える、食後の血糖を抑えるなどたくさんの効果があります。企業が機能性表示食品を開発するにあたり、配合された成分が製品となってもきちんと効能を発揮しているかを調べ、商品コンセプトの合わせて作られた商品が機能性表示成分の対象になるかを調査します。
機能性の評価の方法には、最終製品を用いた臨床試験や機能性関与成分の研究レビューを参考にする方法があります。科学的根拠づくりにはヒトや動物を用いた試験がありますが、その中で最も時間がかかる工程は、ヒトの臨床試験です。
ヒトの臨床試験は、最大で12週間必要なうえに、試験結果を論文にまとめて雑誌に掲載することとなっています。ヒトの臨床試験を行うとトータルで半年くらいかかるので、機能性表示の実施を決定してから科学的根拠を証明するまでに10ヶ月ほどかかります。
研究レビューを使用した場合と比べると時間はかかりますが、臨床試験を行って科学的根拠が証明された場合は、パッケージに機能性を表示することができます。研究レビューを参考にして科学的根拠を証明している場合には、パッケージに記載することが決められていて、消費者が見てわかるようになっています。
安全性の評価の方法
基本的に機能性表示食品は、身体に優しい効果のある食品なのでなんらかの栄養素が配合されています。機能性表示食品の安全性の評価は、これまで広く食べられてきた経験があるかや安全性に関する文献調査、動物や人を用いての安全性の試験をもとに判定されます。
医薬品との兼ね合いや栄養素の過剰摂取などが原因で消費者に健康リスクが起きないように、安全性を確認する必要があります。
パッケージに適正な表示がされているか
パッケージに適正な表示がされているかは非常に重要な項目です。機能性食品は、あくまでも病気の予防や診断、治療効果があるものではありません。例えば、糖尿病や花粉症など疾患名を明記したりすると消費者に誤解を与えてしまうことがあります。
一方で、「朝からスッキリ」と記載されても、寝起きのことなのか、便秘のことなのかわからないと混乱を招く可能性も否定できません。消費者がパッケージを見た時に、商品の特徴を誤解することなく、正しく認識することができるようにしなければなりません。
機能性表示食品はあくまでも消費者が自分の意思で今の自分に必要な食品や栄養素を選ぶためのものです。パッケージをパッとみたときに、消費者に誤解を与えない表示にすることが大切です。
機能性表示食品の販売資格を得る方法
機能性表示食品を販売するためには、商品の販売を開始する予定の60日前までに消費者庁に消費者庁長官への届け出が必要です。商品や食品に含まれる成分について、科学的根拠を示す資料などを提出しなければなりません。
資料には、食品に表示する内容、企業の情報、機能性の根拠および安全性に関する情報、食品の生産・製造・品質管理に関する情報、万が一健康被害が起きた場合の情報収集体制などを記載する必要があります。以上、すべての情報に不備がないことが確認されたら事業者に対して届出番号が発行されます。
記入漏れなどの不備があった場合、届出や添付書類が事業者に返送されます。書類不備が原因で予定日までに受理されずに販売予定日がずれ込んだという例も少なくありません。予定日に余裕をもって書類を提出することをおすすめします。
国に届け出を出した後の流れ
機能性表示食品が消費者庁によって届け出番号が発行されると消費者庁のwebサイトに科学的根拠が公開されています。消費者庁のwebサイトに反映されてから60日経過しても特に問題がなければ販売がスタートされます。
インターネット上で誰もが気軽に機能性表示食品の情報を見られるようになっているので、より多くの商品の中から自分にあったものを選択することができます。
食品関連業者であれば販売資格を取得することが可能
機能性食品は安全性の確保と科学的根拠を提示することを条件に申請すれば、中小企業でもハードルを気にすることなく申請することができるようになりました。トクホは開発コストが大きく、販売許可がでるまでに長い時間が必要というデメリットがありましたが、機能性表示食品の制度ができたことにより、会社の規模関係なく健康食品の開発・販売ができるようになったため、消費者が多くの食品の中から自分にあったものを選ぶことができるようになったのです。
機能性表示食品は条件を満たしていれば会社の規模関係なく手続きが可能!
機能性表示食品は、食品の安全性の確保がされていること、配合されている成分の科学的根拠があることなどの条件を満たしていれば、食品関連会社であれば会社の規模関係なく手続きを行うことが可能です。企業が商品の販売を開始する60日前までに申請して、受理されれば機能性表示食品として商品の発売資格を得ることができます。